2013年度談話会記録

updated on 2016年04月12日 2:38 pm

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第247回

佐藤杉弥 准教授

日本工業大学

理科教育における演示実験
9月11日(水) 10:00~11:00 湘南  
 

 科学技術教育およびその前段である理科教育において実験の果たす役割は大きい。特に自然現象を身近に体験することが少なくなり,理科離れの叫ばれる昨今ではその重要性は増している。教育における実験には大きく演示実験(教師実験)と学生実験があるが,ここでは主にモチベーション喚起を目的とした演示実験についてとりあげる。演示実験はファラデー以来の伝統があるクリスマスレクチャーが有名であるが,特に学生実験では行い難い大規模なものや危険性のあるものにその効用がある。演示実験は現在も新たな実験開発や改良が各所でおこなわれているが,我々が開発・実施しているものをいくつか紹介する。それらはTVでもしばしば取り上げられている大型真空砲(大気圧砲),新方式の光学演示装置やモンキーハンティング実験,液体窒素を用いた低温実験,セグウェイを用いた力学講義,クント管による定常波の実験などである。これらの内容および実施事例について映像も交えて述べる。また,これらの実験の解析を通じて,物理としての新しい知見が得られることや,大学レベルでの高度な活用が期待できることもあわせて報告する。また,実際の真空砲の試射も体験していただく。

 


第248回
横山 直樹 教授
高速度ビデオグラフィにおける運動解析プログラムの開発
      - 粒子などを対象とした ROI の自動生成 -
10月23日(水) 10:30~11:30 湘南 PDF

高速度ビデオシステムによって記録された動画を対象とし、対象物体の運動を自動解析するプログラムを開発し、その有効性を実験的に検証してきた。特に時間分解能を高めた高速度ビデオシステムにおいては、空間分解能に制限があり、各フレームにおける対象物体の位置の計測精度が低くなりがちであるが、画像相関値を評価関数とし、その極大値が得られる位置を物体位置として把握するアプローチでは、位置情報をサブピクセルの単位で求めることが可能であること示した。しかし正規化相関を用いたアプローチでは、その計算量が膨大になるために、実用的にはなんらかの計算負荷軽減が必要である。そのために相関計算を並列化することを試み、CPUの複数のコアあるいはGPUを利用することで高速化が可能なことを示した。

 

今回は、画像処理の手法により、原画像に多数含まれる粒子や気泡を対象とし、その外郭となるようなROI( Region of Interest )を自動生成することを目指す。このROIデータを利用して運動解析プログラムから相関計算によるトレースを行う。

 
第249回 竹下 秀 准教授 光源及び光源装置の光生物学的安全性評価規格の課題
12月6日(金) 10:30~11:30 湘南  
 

 国際照明委員会(CIE)によって規格化された光源及び光源装置の光生物学的安全性規格CIE S009: 2002は、この分野唯一の国際規格として全世界で活用されている。CIE20134月のCIE100周年記念大会に併せて開催されたCIE理事会においてこの規格の改訂作業の開始を決定し、国際電気会議(IEC)と共同でその作業を開始した。現行規格の最大の問題点は、光放射計測上の制限を全く考慮せずに規格が制定されたことである。このためこの規格に基づいて評価可能な光源及び光源装置は、評価対象の製品の極一部である。この談話会では、光放射計測上の問題点などを講演する。

 


第250回 谷川 隆夫 教授 

ヘリコン・無電極プラズマスラスターの開発

1月29日(水) 10:30~11:30 湘南 PDF
 

 外部磁界のある環境下に高周波を用いて高効率でプラズマを生成するヘリコンプラズマ源は、容易に高密度プラズマを生成することが可能で、汎用性が高く、プラズマのいろいろな分野で注目されている。励起アンテナをプラズマ外部に設置すれば摩耗部品のない「無電極」プラズマ源である。ヘリコンプラズマ源で生成されたプラズマを「無電極」電磁加速することで、高効率・長寿命である究極の電気推進機が実現可能である。この、ヘリコン・無電極プラズマスラスターの開発を目指す基礎研究がHEAT (Helicon Electrodeless Advanced Thrusters) Project(代表者:篠原俊二郎 東京農工大学教授)として進められている。このプロジェクトでは既に種々のユニークな特徴を持つヘリコンプラズマ源を完成させてきている。話題提供者も参加しているこのプロジェクトの今までの成果について紹介する。完全無電極プラズマスラスターは将来の深宇宙探査などで必須の推進機であるが、このような推進機の基礎開発研究をこれだけ系統的に進めてきているグループは世界に類がない。今後のさらなる成果が期待されている。

 

 

2012年度記録